むらの幸福論

暮らしのちいさなところに眼をむける。

誰から話題を呼んでいるの?

 上野千鶴子先生が、東京大学の入学式で話した祝辞が「話題を呼んでいる」内容を、ヤフーニュースで読んだが、とりたてて話題になるようなことでもなかった。

 書いた記者の思い込みにしかすぎない。紋切りで調で、工夫がないな。

 述べた骨子は、「あなたたちはがんばれば報われると思ってここまで来たはずです。ですが、がんばってもそれが公正に報われない社会があなたたちを待っています」。

 テストは、頑張った証であろう。ふだんのおこないで、そもそも報われるためにやっているのか、いぶかる。

子どもがいなくなってムラが消えた

 子どもがいなくなって、ムラが消えた。子どもは命綱であり、希望のひかりだ。それを邪魔者にしている。ひどく貧しくて、悲しくて何の救いようもない行為だ。

 おとなは自分の生きかたをふりかえり、そこらへんを考えるべきだ。

 それからしつけ。しつけとは、マナーです。家族だったり学校だったり近隣所だったりの集団の一員としての心得。これはまわりにいるおとなが教えないといけないでしょ。

 こうしなさい、ああしなさいと言葉で導くものではない。無言で、生の事実でやること。裁縫のしつけ糸みたいにきゅきゅとやるのは制約で、拘束。

 しつけは、し続けるということ。

 子どもがいなくなれば、地球はおわる。

陳腐な質問でイチロー選手の姿が消される

 イチロー選手の引退会見を、昨夜、インターネットですべて見た。メモをとりながら。聞役のひとの陳腐な質問で、イチロー選手の姿がかき消された感じだ。当然かもしれないが、質問するひとは、若い。勉強不足だ。

 ぼくは、名古屋での新聞記者のとき、彼の高校2,3年を取材している。さほど、騒がれる存在ではなかった。エースで甲子園にも出場した。だが、投手としての評価は、低かった。

 91年、オリックスのドラフト指名は4位だった。

 プロに入ってからの接触はない。高校時代の印象は、自己中心的でも、努力を鼓舞することはなかった。

 引退会見で「少しづつの積み重ねしか、自分をこえていけない。地道に進み、後退しながらも」とのフレーズは、高校時代も言っていた記憶がある。

 努力のひとだ。

もの言わぬ集落

 「九州北部豪雨で打撃をうけ、高齢化が進む福岡県朝倉市の2集落が消滅の危機にさらされている」と、毎日新聞WEB版は伝えている。
 福岡県は、豪雨による河川氾濫や土砂崩れで甚大な被害が出た朝倉市杷木松末(はきますえ)の4集落と同市黒川の2集落を被災者生活再建支援法に基づく長期避難世帯に認定している。

 住民は認定が解除されても、同市黒川の黒松・真竹(またけ)(15世帯30人)と疣目(いぼめ)(15世帯25人)の2集落には帰宅希望者がいないことが、地元自治組織の調査で分かった、という。

 高木地区コミュニティ協議会が各集落の区会長らに集落の今後など聞き取りしたところ、2集落からは「帰宅希望者なし」の回答を得たそうだ。

松葉ガニ漁、今日解禁

松葉ガニ漁の同乗取材をしたことがある。

 4日間だけだったが、乗船してまるっと1日で、胃袋のなかのものをすべて吐き出すほど過酷だった。その船には、その後、記録者を同乗させていない。取材するほうも、取材させるほうも、リスクがともなうためである。

 にび色の日本海。気温3度。吐く息も真っ白。べた凪がシケに急変する。中型クラスの沖合船とはいえ、大海原では木の葉のようにもまれる。うねりは2階建ての家の高さぐらいに達する。

 水深210㍍の海底を約1時間さらう。ブザーが船内に流れる。休息していた漁師たちが甲板にあがり、持ち場につく。手にはたばことコーヒー。眠け覚ましだ。

 クレーンで網が引き揚げられる。袋網は、水を滴らせてあがるが、詰まっているのはハタハタ、カレイなどの底物、それに一升ビン、大小の石まである。松葉ガニの姿はわずかだ。

 45年ほど前は1日に4、5回、網を入れれば豊漁だった。が、漁獲量が激変した今、24時間フル操業だ。

 再び網入れ。甲板は再び静寂をとり戻す。海の男たちは何もなかったように、また、スーッと階下の仮眠室にきえる。

 室内は、それぞれ仰向けになれるほど仕切られている。寝返りはうてず、広いとはいえない。1年のうち、9か月間も船内で暮らす海の男にとっては城だが、耳元では終始エンジン音が高鳴っている。

 1サイクルが約2時間。不眠不休の漁だ。「冬場は寒さで体力が消耗するのでつらい」ともらす。疲労は、操業回数が増えるたびに顔にあらわれるが、口にはださない。

 仮眠をとった男たちが甲板にそろう。ウインチがうなり、ロープをあやつる動きも活気づく。表情もあかるい。

 たぐる網に松葉ガニが踊る。選別作業する手も弾む。満面の笑み。「漁師として生きがいを味わえる瞬間」だ。

 食事は肉体労働のわりに粗食である。ごはん、みそ汁、大根と野菜の煮つけ、スルメ、キャベツの千切り。10分足らずで食べる。会話はほとんどない。
 いのちを張って働く姿のことを思えば、果たして松葉ガニが高価といえるのか。そんな恨み節が聞こえてくる体験だった。

 船からおりて、おかにあがったら足腰がたたなかった。体重は7キロも減っていた。

地方の国立大学 統合に拍車かかる

 名古屋大(名古屋市)と岐阜大(岐阜市)が大学法人の統合に向けた検討を始めているようだ。
これから、地方にある国立大学の統合に、拍車がかかる。東海地区の他の国立大学にも波及しそうだ。
「東海国立大学機構」(仮称)を設立して経営の効率化、教育研究機能の強化になる。