むらの幸福論

暮らしのちいさなところに眼をむける。

現代の松原岩五郎か! 東京板橋のスラム住民を活写

 小板橋二郎さんには、非礼かもしれないが、現代の松原岩五郎である。

 「貧民探究者」。

 「都会のスラムというものが一人の人間の幼年から少年期にかけてどれほど自由でエキサイティングですばらしい社会だった」ーーこう述懐する。

 板橋の貧民屈・岩の坂で少年時代をすごした小板橋さんの、壮絶で怒涛のようなレクイエムだ。
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 木賃宿・長屋の住人、梅毒で鼻のないフガフガのおばちゃん、正体不明のインテリ博士、ヒロポン中毒のおっちゃんなど、悲惨でありながら温かな、自由だった板橋の貧民屈を露呈する。

 小板橋さんには、2度、お会いしている。大学をでてデータマンをしていたとき、小板橋さんは、アンカーだった。名アンカーだった。

 小板橋さんが創設して代表幹事だったルポライターの勉強会・貴稿会(きこうかい)に数回でた。

 引っ越しを繰り返したにもかかわらす、機関雑誌をもっている。

 それほど大切な雑誌だった。

平成のスラム地を書く書き手は、いないのか。