むらの幸福論

暮らしのちいさなところに眼をむける。

地方創生に暗雲

 【日本経済新聞から転載】
 総務省が5日発表した住民基本台帳に基づく2014年の人口移動報告(外国人を除く)では、東京周辺への人口集中が一段と進んでいる。

 東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)で転入者が転出者を上回る「転入超過」が前年比1万2884人増の10万9408人。5年ぶりに10万人を超えた。東京都が7万3280人と突出している。

 総務省は「景気が回復している首都圏に全国から人口が流入している」と説明する。東京圏の転入超は19年連続。年齢別では「15~29歳」が10万3325人にのぼる。

 大阪圏(大阪府兵庫県京都府奈良県)、名古屋圏(愛知県、岐阜県三重県)は2年連続の「転出超過」で、大都市圏でも格差が目立ってきた。

大阪府は4年ぶりに転出超。名古屋圏では愛知県のみが転入超だった。

 沖縄県も6年ぶりに転出超になり、転入超は7都県にとどまった。

 岩手、宮城、福島の3県を合わせた転出超の規模は前年からほぼ横ばい。福島県の転出超は震災前の10年を下回り、同県は東京電力福島第1原子力発電所の事故を原因とする流出には歯止めがかかったとみている。

 市町村別にみると、転入超は東京23区のほか全国の約4分の1にあたる406市町村。転入超の上位は東京23区、札幌市、福岡市、大阪市川崎市の順だった。政令指定都市などの中核都市に人口が集まっている。

 一方、依然として7割以上の市町村が転出超だ。

日本経済新聞の調べでは、人口に占める転出超の割合が1%を超える市町村は200以上にのぼる。「地方創生」を掲げる安倍政権の課題が改めて浮き彫りになった。
日本総合研究所の湯元健治副理事長は「アベノミクスによる円安や株高の恩恵は地方に届きにくく、学生が就職で都市部に出ざるを得ない。大企業の本社機能の移転促進や地方発のベンチャー企業の育成といった政策を強化すべきだ」と指摘する。

 【私見】

 地方の人口減少に歯止めがかからない。このまま「地方創生」を推し進めても、焼石に水の状態で、カンフル剤にもならない。格差は、ますます広がる一方だ。「定常経済」へシフトすべきである。

 限界集落は、懸念されているように、限界から消滅していくことが明らかになった。