何であれ、有名がもてはやされる時代だ。人気があるから有名なのではなく、有名だから人気がでる。おかしな時代だ。
こんなとき、交通整理をみごとにしてくれる哲学者がいた。46歳で早世した池田晶子さんである。
「有名になりたい欲」で、こういう。
「有名になりたいとは、他人に自分を認めてほしいということだ。でも自分を認めるのは自分であって、他人ではない。だから自分というものがない人間ほど他人に認められたがる。
つまり、名ばかりで中身のない人間ほど自己顕示をしたがる。それが、現代の有名病だ」
いかなる組織にも集団にも所属しなかった。特定の立場、利害にかかわらず、独歩で思考を探究した。
時代が求めているのか、新刊が出た。
『幸福に死ぬための哲学 池田晶子の言葉』
「悩むな、考えよ。」がキャッチコピーだ。
生きることは、考えることと、池田さんは言い続けた。