むらの幸福論

暮らしのちいさなところに眼をむける。

悪はときとしておかげとなる

 悪はときとして、必要である。悪が存在しなかったら、善もまた存在しないであろう。

 悪は善であることの唯一の、理由である。

 危険から遠い所では勇気が何であろうか?

 苦痛なくして憐れみが何であろうか?

 悪徳なくして徳を、憎悪なくして愛を醜なくして美を考えることができようか?

 人生が生きるだけの価値があるのは、悪と苦悩とのおかげなのである。