むらの幸福論

暮らしのちいさなところに眼をむける。

所得格差とひとの心

 アウトリーチーー。手を差し伸べるとの意味から、待ち受けるだけでなく、出向いていく姿勢や取り組みを指す。

 切迫度に違いはあるが「買い物難民」に近い人が増えて要望が高まる移動販売車も、そうした実情を映す。

 孤立は1人暮らしのお年寄りだけの問題ではない。親と暮らす無職の中高年未婚男性も潜在的な予備軍とされる。

 失業や病気など複合的な要因を抱えて生活に困窮するケースも、絆が細っていれば地域社会から見えにくい。

 知恵比べとなる「地方創生」の元年と重なり、地域の関心は成果が見えやすいUIターン策などに集まるだろう。ただ、今そこに住む窮した人に寄り添うことは、誰もが安心して住み続けられる地域をつくることになる。

 ただ、所得格差が多すぎると、民主主義に必須の「共同体意識」が維持しづらくなる。

 大きな所得格差で隔てられた「豊かな人々」は、ほとんど別の生物種であるかのように、共通の経験や関心がなくなる。