むらの幸福論

暮らしのちいさなところに眼をむける。

酒は身を滅ぼす

 親しくしていた優秀な編集者がなくなった。心筋梗塞で、出張先のホテルだった。

 朝、携帯が鳴った。そのひとの娘さんからだった。

 「父が昨夜亡くなりました。心筋梗塞です」

 それだけ告げてくれた。

 その人は、東京のG出版社から独立。2人からスタートして、6人の社員をかかえる法人の編集会社となっていた。

 出張にくると、食事をした。いつも呑んでいた。饒舌になる。ビールから決まって日本酒になる。

 「もうやめとけば」というほど、よく呑む人だった。

 世渡りがじょうずだった。

 営業センスはすぐれていたが、文章は褒められなかった。

 逢うたびごとに、クライアントからの雑誌が増えていた。

 自慢はしない人がらだったが、誇らしげだった。

 こちらから仕事を依頼することはあった。

 でも、文章アップまで頼むことはなかった。

 急死は残念だ。