蔵を改造したアトリエにこもって、「生まれ、働き、眠る」という人間の暮らしをありのまま描いた。
常田健さん。
東京の画壇と距離をおき、津軽から出ることはなかった。
いつのころからか素朴な画風にひかれた。生き方にも。
こんな言葉を遺した。
「自分の生活に、自信がないんです、
自分の感覚にも。
ほんとにこれでいいのかという。
幸せとはどういうことなのかな・・・
九十歳になるけど、
自分でも幸せだったかどうか、考えないですね。」
自分を律するひとだったんだろう。
89年の生涯は、自分のこころを裏切ることはなかった。