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むらの幸福論

暮らしのちいさなところに眼をむける。

原稿用紙という魔物

 原稿用紙に向かっているあいだ、彼の意識はその世界で暮らしていた。万年筆を置いて机を離れても、意識はまだそちらに留まっていることがあった。

 そういうときには、肉体と意識が分離しかけているような特別な感覚があり、そこまでが現実の世界でどこからが架空の世界なのか、うまく判別できなくなった。