2016-10-03 散る金色の香り 金色(こんじき)の香りを謳歌したキンモクセイが散った。大気が清らかでないと、木が弱り、花も香りも貧しくなるようだから、この地は健康といえる。 葉っぱは、常緑だが平凡で人目につかない。平素は所在すらわすれがちになる。 花も小さく、鑑賞するほではない。だが、秋いちばんの香りがたつ。 花を見るよりさきに、香りをきく。秋たけなわの香りであった。 澄んだ青空と、金色の香りと。 「この国の風土の、清澄(せいちょう)への回帰をうながす木だ」と表現したのは、岡部伊都子さんである。