むらの幸福論

暮らしのちいさなところに眼をむける。

簾内敬司さんが遺した本

 久しく連絡してなかった東北の知人に電話した。ほどなく会話して、出版人として、書き手として尊敬している簾内敬司さんのことにおよんだ。

 うかつにも亡くなっていたことをしらなかった。

 1975年から88年まで、「秋田書房」を経営していた。東北の自然、文化風土に定位し、出版活動をつづける。

 「書かないと、忘れ去られ、もともとなかったとされる」ねがいで、たくさんの証言を遺した。

 秋田書房のときに出した『詩集 父さんが行った』は、第18回北原白秋賞を受けた。

 この本のことは、むのたけじさんが紹介文を書いており、どうしても欲しかった。尋ね尋ねして、あるとき、横手市にでむいたおり、小川先生というかたから買わせてもらった。

 でかせぎ村で、全校詩の運動に取り組んだ「こともたちの心の口笛」が網羅されている。

 「空を 見たい」(小2 高橋義幸)

 冬になったら

 雲のかたちができなくなった。

 いっつも雪が ふってるから

 雲が見えない。

 雪がやんで 晴れになっても

 雪か雲か わからない。

  
 早く青い空を 見たいなあ。

 早く雲と おいかけっこしたいなあ。

 
 そのころには、お父さんがかえってくる。

 簾内さんのこと、むのさんのことは、折に触れて書く。