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むらの幸福論

暮らしのちいさなところに眼をむける。

もの言えぬ限界集落

 限界自治体化が急速に進んでいる。

 2030年には全国で144の町村が限界自治体になると予測される。

 予測よりかなり早く限界自治体化が進んでいる背景には三位一体改革による地方交付税の減額があり、集落への住民サービスは一層低下していく。山村が限界自治体化していき、小規模な山村では存続集落が準限界集落に移行し、準限界集落限界集落に移行し、限界集落に滞留していく、これが山村の実態といえる。

 2006年に国土交通省が過疎地域を対象に行った集落調査によると、6万を超える集落のうち 7,878の集落がいわゆる限界集落になっている。その中で、近い将来消滅していくと思われる集落は2,600を超え、そのうち10年以内が400を超えるとされている。

 限界集落の状況を次のように描写したことがある。

 人影もなく、1日誰とも口をきかずにテレビを相手に夕暮れを待つ老人。天気が良ければ野良に出て、野菜畑の手入れをし、年間36万円の年金だけが頼りの家計に、移動スーパーのタマゴの棚に思案しながら手を伸ばすシワがれた顔。バス路線の廃止に交通機関をなくしタクシーでの気の重い病院通い。

 1か月分の薬をたのみ断られ、2週間分の薬を手にアジの干物を買い、杖を突きながら家路を急ぐ老人。テレビニュースの声だけが聞こえているトタン屋根の家が女主人の帰りを待っているむら。

 家の周囲を見渡せば、めぐら地(家周りの田畑)に植えられた杉に囲まれ、日も射さない主人なき廃屋。苔むした石垣が階段状に連なり、かつて棚田であった痕跡をそこに溜めている杉林。日が射さず下草も生えないむきだしの地表面。野鳥のさえずりもなく、枯枝を踏む乾いた音以外に何も聞こえないもの言えぬむら。

 どうするか。

 国が決める地方創生ではなく、まず、自分たちの住む集落の創生策を自分たちで考え、汗するしかない。

 55歳以上が半数以上の「準限界集落」の段階にあるときに行政が存続集落に再生することが地域再生のためには重要であり、それが「予防行政」でありそれこそが自治の本来のあり方である。

 これまでの行政は国が決め、それを都道府県が市町村に下ろしそれを地域住民が受け取るという形になっている。自分達の地域は自分達の手でどう活性化していくか、そのための自分達の政策を作っていくことである。