むらの幸福論

暮らしのちいさなところに眼をむける。

器の器量

 師から言われた。

「家族というものはな、その中に、一人でも不幸な者がおると、皆がそろって不幸になってしまうという、じつに理不尽な掟で結ばれた者同士のことを言うんじゃ。

 逆に言うと、家族の中の一人が幸せになるためには、他の全員も幸せでなくてはならん。だが、いまの風潮ときたら、どうじゃ?

 『神の欠片』も空っぽで、ちっとも幸せそうには見えん。みんなが違った方向を向いていると、そちらになびいていく。

 夫婦も対なはずだが、どうもそうでないみたいじゃ」

 脱帽。