東條英機とむのたけじ
週刊新聞「たいまつ」の主幹・むのたけじが逝って、はや、4か月をむかえる。するどい口調で説いてきた時局が聴けないいま、むのがこれまで書いてきた原稿から読みとくしかない。
政局がさわがしいときだけに、どれほどのひとがみるか。
むのの発言がないか、探してみた。あった。
東條英機と、むのは相対していた。朝日新聞の議会担当記者として、ずっと見ていた。
むのは述懐する。
「東條英機とは、実力はないし思想もないのに、歴史のいたずらというか、何かのめぐりあわせで、大戦争の指導者という地位に身を置かされた人物だと思います」(「第三文明」1998年9月)
公的な人間の人物評価は、結果によって裁かれなければならない、ということを言及している。
「お涙ちょうだい」式の、エピソードでのすり替えは許されないというのだ。