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むらの幸福論

暮らしのちいさなところに眼をむける。

ふしぎやな

 暑い日だった。

 流れる汗さえ心地よいと思った。目に入るすべてのものがいとおしかった。

 何もかもが美しいと思った。

 道ばたの草さえも限りなく美しいと思った。しゃがんでみると、雑草が小さな白い花を咲かせているのが見えた。小指の先よりも小さな花だった。

 美しい、と心から思った。その花は生まれて初めて見る花だったが、この世で一番美しい花ではないだろうかと思った。

 親しくなれば、互いにそれだけ自分の内部を見せ合うから、相手の立場を一段と大切にして、交際に節度をもたなければならない。

 わがままや無作法をゆるし合うことが友情の深まり、と錯覚する。親しくなった途端に仲たがいして、取り返しのつかないキズを与え合うことになる。