むらの幸福論

暮らしのちいさなところに眼をむける。

あけもどろ

 習慣という怪物は、どのような悪事にもたちまち人を無感覚にさせてしまうが、半面それは天使の役割もする。終始、良い行いをなさるようお心がけになれば、初めは慣れぬ借り着も、いつかは身についた普段着同様、おいおい肌に慣れてくる。

 今宵一夜をおつつしみなさい。明日の夜はもっと楽になりましょう。その次はさらにたやすく。こうして習いは性となり、人は、知らぬまに、悪魔を手なずけられもしようし、それを追い出してしまうこともできる。