むらの幸福論

暮らしのちいさなところに眼をむける。

峠越えまでして食べたくなる山のテッペンにあるパン屋さん

f:id:munosan:20150603154040j:plainf:id:munosan:20150603154201j:plain
 標高550メートル。棚田が一望できる”集落一”の高台に、パン屋さんはある。初めて訪れるひとは、誰もが「こんな辺ぴなことろに」と首をかしげる

 切り盛りするのは80歳の夫婦に、愛知県からUターンしてきた息子さん夫婦だ。金、土、日、月曜日の週4日が営業日だが、「家の都合で急に休む」ときもある。

 扱うパンは天然酵母の食パンやコッペパンなどのほか、フキノトウヨモギ、ショウガを練りこんだ菓子パンなどである。店内には、ジャズが流れる。週末には、県内外からの”ファン”が絶えない。行列ができるときもある。

 どこにでもあるパン屋さんだが、なぜか人気がある。

2、3年ならわかるが、20年も人気が落ちない。ホームページもブログなどSNSはない。宣伝もしない。頼りクチコミだけである。

 マイナス要因ばかりのパン屋さんに、なぜ足繁く行くのか。老夫婦の笑顔と会話する歓びである。