むらの幸福論

暮らしのちいさなところに眼をむける。

個性を洗う

 本をよみだしたら止まらず、「岡部伊都子集」(岩波書店)を取りだした。

 「個性を洗う」という言葉を、はじめて知った。まごついている。

 美しくこころよく楽しいものとして肯定的に受けとめていた個性。でも、まちがっていた。ひとにはさまざまな違いがある。自分は他者とことなる。他者は自分とことなる。その第一ボタンをかけ間違えてはいけない。

 長所はややもすると、はなはだ危険な欠陥となる。短所もつかいようによっては、よき効果をもつ。頭でわかっていても、どのように動かすか、うろうろする。

 鵜のみにしてはいけない。十把一からげに。個性という言葉は、あまりにも誇張的に、ファッション的につかわれてきたきらいがある。

 まだ、まだ、まだ分からないが、世間を軸としてはいけないことなのか。まごつくことも、楽しい。