むらの幸福論

暮らしのちいさなところに眼をむける。

グラスの優しさ

 アイスコーヒーに牛乳をたっぷりいれたグラスを、塗り皿の上に置いて出した。

 皿とグラスの間には、着物地で縫われた小さな中敷が座布団みたいに置いてあった。

 グラスの中で氷がとけると、塗りのお皿の上でからんと鳴って、妙にいい感じがした。

 大げさにいえば、そこで時が優しく置いてきぼりになった感じだった。