むらの幸福論

暮らしのちいさなところに眼をむける。

2015-01-01から1ヶ月間の記事一覧

地方主義をつらぬいた日本的な詩人

昔も今も、日本の近代の歴史は、東京中心である。 地方に生き、そこで仕事をし、そこで亡くなった表現者をして、いわゆる<地方作家>かというと、そうではないと思う。 肝心なのは、そのひとが成し得た作品の質と量である。それで歴史の評価に堪えうるかど…

ガチの体験ルポは、読まれないのか?

ふっと、思う。 からだを張った文章は、いまどきは読まれないの、かと。ガチの体験ルポ。 おちゃらけけで、いいのか。 ニュージャーナリズムに、ニューメディア。言葉だけニューで、なかみはカラッポなのが多い。ひ弱だけが目立つ。 わが国のルポのいしずえ…

雪点描

うち霧(き)らし 雪は降りつつ しかすがに 吾家(わぎえ)の園に 鶯(うぐいす)鳴くも 大伴家持 わが夜の雪ふりつもる 放哉 又一人雪の客が来た 放哉

呼ぶ春

蕗の薹 食べる空気を 汚さずに 細見綾子

大正期 7歳で夭折した少女の息吹き  ①

<こぼれるような 雨がふる 木のは と雨が なんだかはなしを するようだ 山もたんぼも雨ばかり びっしょりぬれて うれしそう (雨と木のは)> 詩情があふれでている。 7歳の幼齢の少女が、生み出した世界である。90年のときを経ても、問いかける。 少女…

現代の松原岩五郎か! 東京板橋のスラム住民を活写

小板橋二郎さんには、非礼かもしれないが、現代の松原岩五郎である。 「貧民探究者」。 「都会のスラムというものが一人の人間の幼年から少年期にかけてどれほど自由でエキサイティングですばらしい社会だった」ーーこう述懐する。 板橋の貧民屈・岩の坂で少…

読了。朝日新聞「表現の自由」を叫ぶ前に 高橋源一郎

静かな時評だ。 「イスラム」国の人質について、高橋は「意見」はあるが、「書く気になれない」。 「もっと別のことが頭をよぎる」と、持論はしまう。 太田光、スーザン・ソンタグ、エマニュエル・トッド、ジャニーン・ディジョバンニ、竹下誠二郎、ロバート…

いのち しゃぼん玉

「しゃぼん玉消えた。飛ばずに消えた。うまれてすぐに、こわれて消えた」。 夭折した子のかなしみがふくまれている。ときとして、涙ぐむ。 魂を、玉と表現する妙。ならわし、であることは学んだ。 いのちは、玉の緒。 ひとのココロは、しゃぼん玉みたい。 に…

SL列車が里山を走る? 地方創生にはもってこいだ

山陰の里山にSL(蒸気機関車)列車が走りそうだ。 第三セクターの若桜鉄道が試験走行を計画しているそうだ。いま、枕木の交換作業に追われている。 走行を予定している若桜-八東駅間(9・4キロ)。 若桜、八頭町が支援を検討している。 国はどうするんだ…

しゃぼん玉のように生きた女流作家・田中古代子

大正期に大阪朝日新聞懸賞小説で入選し、将来を嘱望された女流作家がいた。 田中古代子(1897-1935)で、非命にたおれた38年だった。 いつ、どこで、どのようにして文学に開眼したのかはしらない。 小説を書き、詩を書き、随筆を書き、そしてそれ…

裏山の雪景色

足のうら洗えば白くなる 畳の上に白きものが舞いおちてきた 山を見上げれば雀がしゃがんでる なにがたのしみで住んでいるのかと問はれている ヒドイ雪だドコ迄も暗空 ころころころがって来た雪玉をたべてしまった

限界集落を歩いて7年。「したり顔のものはいらん」

互助がむずかしくなった里山集落の老いを、だれが支えるのかーー。おぼろげな自問からはじめた限界集落歩き。実態を聞き書きして、7年目をむかえた。 住んでいるところも、里山。戸数50戸に満たない。市街地からタクシーで、往復1万円をこえる。小学生は…

新書を淘汰して欲しい

本屋さんで、ずいぶん前から気になっていることがある。 新書のスペースの多さである。マイナスばかりのタイトルを堂々と平済み。派手派手しい帯。手に取るのさえイヤになる。 「発想法」など、ていねいに分析した新書はない。 新書ブームも去って、売れる時…

里山は、また 、白一色

ふたたび、雪が積もってきた。 まだまだ、春は遠い。

イケメン 石浦!十両に昇進

ハリウッドの人気映画の出演を断って大相撲の世界に入った石浦が、十両に昇進することになった。 大相撲ファンとして嬉しいのは、ナント、174センチ、102キロのと”小兵”から繰り出す技である。 ここ数年、大型力士が多くなり、大味な取り組みばかりだ…

何をするイベントなのか? そもそも「芸住祭」ってどう読むのかな?

このところの造語は、分からないのが多い。 「芸住祭」 なんて、読みますか? 「げいじゅうさい」らしい。 げいじゅつさいーーにこじ付けたとか、思えない。 では、何をする祭りなのか? 「アーティストリゾート(アーティストインレジデンス)」活動するこ…

日本の暗部をさぐるルポ

「底辺生活」をあぶりだすルポは、いまでは珍しいないだろう。 しかし、明治30年ごろに、その出自はあった。松原岩五郎がかかんに挑んでいる。 貧民の子弟が環境の悪いところから悪の道に転落していく因果関係を追求する。 <親は無勘弁に子を産み、子は無…

ふきのとうが顔をのぞかせる

散歩していたらふきのとうが、顔を出していた。 このところの暖冬で、一気に芽吹いたようだ。 さっそくふきのとう味噌にして食べた。苦味がなんともいえない。

仙たる気・・・すがすがと香りをはなつ

白い花冠、黄の副冠。 霜をあび、雪にまみれ、雨風にさらされ、すがすがと香りをはなつ水仙の・・・仙たる気。 ラッパ水仙や口紅水仙など、はなやかな変型水仙がたくさんあるが、なによりも白い花冠、黄の副冠をもった一重咲きの在来種がいい。

嫌な花粉症に、甘酒を愛飲

嫌な花粉症が、また、やってくる。 ここ数年の経験からいえば、花粉症対策は、気になりだしてからでは遅いということである。少なくとも、半年前から準備しなければいけない。 一度、花粉症になったら「免疫は体内にある」とかかりつけの先生に言われたのが…

茂木センセイが、大相撲でツイートって・・・地方創生に役立つ

大相撲がブームになるということは 茂木健一郎センセイが、大相撲でツイートしている。 相撲に関心がおありになったんですね。 地方創生も、こうしてブームがおこせれたら、いいのに。 「リアル」からつぶさに「ブーム」になるにはどうしたらいいか? 茂木セ…

2人の大横綱のしこ名にちなみ、孤高の頂に

大相撲ファンとしては、白鵬の孤独な闘いに共感した。 優勝33回の大記録を達成した。 しこ名は昭和の2人の大横綱柏戸と大鵬の「柏鵬」に因(ちな)む。大きいどころか、目のくらむほどの存在だ。 当時、そのまま「柏鵬」とつける意見もあったそうだが、さ…

小さな集まりに希望がある

3・11から志を持った人たちによる小さな集まり、勉強会、塾が派生している。でもパブリックな動きとなると、国家の援助をうけないと長続きしない。意地をはって民間の団体として続けても、さき細りする。やがて消える。これが、日本に通用にているである…

「応挙寺」まで

兵庫県海上集落に聞き書きに行ったので、足をのばして香住町まで出向いてきた。 応挙の絵を観るためだ。香住町には「応挙寺」として親しまれている大乗寺がある。 写生派の祖とよばれる江戸時代の絵師、円山応挙(1733~95)と12人の弟子が、客殿の…

太根 生死輪廻

幸田 文さんの名著『木』を読んでから、草木に心をよせるようになった。 雪国でくらしていて美しいと思うながめは、真冬の落葉樹のさまである。 烈風、大雪にたえ、寒気をしのぐために、必要ぎりぎりのもの以外の一切をすて、アバラボネだけになっている姿で…

「しないこと」の発想

「効率」と「競争」に振り回されている。「しない」暮らしへの問いかけがある。 詩人と、ジャーナリストが同じことを言っている。 「わたしたちは、何をすべきか、でなく 何をすべきでないか、考えるべきだ。」 (『死者の贈り物』みすず書房) 長田弘さんだ…

まっ白

ひとって強さだけのゆえに存在しているのではない。 弱さもまた、ひとの存在する価値である。 強いことに倚りかかっているものは、すでに弱い。 弱さに気づき、弱さとして受けとめているそのものは、すでに強くなりはじめている。

【お題】さむい

わが背子(せこ)と 二人見ませば幾許(いくばく)かこの降る雪の嬉しからまし(巻八の一六五八番、光明皇后の歌)歩みは単独もいい。倚り添う歩みは、なおいい。雪の降る無闇。沈黙を互いに聴く。時間(とき)は、どれほどの寒さをも嬉しい。

首都圏の手仕事展でみつけた願字玉(がんじだま)

ケヤキ材で作られた紐付きの立体文字。 希望の文字を指定すれば、世界でひとつの作品となる。 オリジナルの表面の丸みある優しい木肌。 程よい握りやすさで、使えば使うほど風格のある濃い色味に変化する。 思いを込めて握りしめれば心は通ず....。 バレンタ…

紙の宝石。まぼろしとなった「天蚕和紙」 

里山を歩いていると、偶然に出くわす。ひとであったり、ものであったり、事象であったりと、かじかんだ肩をほぐしてくれる。 天蚕(てんさん)和紙は、「手仕事のチカラ」を調べているとき、紙漉き職人に出逢ったことからだった。 偶然に、「こんな紙があっ…