むらの幸福論

暮らしのちいさなところに眼をむける。

人間を冠にした本こそ、ウソっぱち

f:id:munosan:20150624184326j:plain
 TBSドラマ「天皇の料理番」の著者、杉森久英さんの伝記小説を書く裏話を集めた本である。

 「人間の鑑賞」。

 大仰な題名である。

 近衛文麿東条英機阿南惟幾花森安治野間宏大宅壮一梶山季之の”小伝”を読むと、ずいぶんと人間味がある人たちである。

 「この社会は善悪入り乱れて、紛然雑然としたもの」であり、興味尽きない。

 書き手としては、掘り尽くされている人物は敬遠する。

 仕事としては、文献も資料がないほうがいい。自分で開拓するほうが、楽しみもおおい。

 「伝記」。

 興味本位で誇張したり歪曲してはいけないが、「恥部」を隠してはウソっぱちだらけの肖像となる。

 あわせて、人間を冠にした本こそ、ウソっぱちである。