むらの幸福論

暮らしのちいさなところに眼をむける。

ドクター徳永が、鶴見さんのことを話していた

 鳥取市にある「野の花診療所」の徳永進さんが、鶴見俊輔さんについて、こんな話をしていたことがあった。

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 学生のとき、同志社大学鶴見俊輔さんの授業に顔を出した。学生がイキイキと自分の意見を発表していた。

 鶴見さんは、その人自身の意見であれば、どんな稚拙なものであっても、「面白いね」と言った。そう言われると、稚拙な意見が偉大な思想であるかのように思えた。偉大な思想家をマネただけの意見には、「そう」くらいだったと思う。

 偉大な思想はひょっとすると、稚拙なのかもしれないと思った。 その人の暮らしや情況からにじんだものを大切にされた。

 「転向」研究も、裁くという立場を越えて暮らしや情況を大切にしながらなされた仕事だと思う。