中学のころから、伝記ものがすきで読んでいる。いまだに。このところは、「鷗外」にはまっている。透徹した頭脳と、絶倫の精力によって、ここ数世紀のわがくにに傑出した巨人だ。唐木順三さんが書いているのを読むと、気の強さ、負けん気の強さは「弱み」をしらないひとであった。
弱みを持たないひとは、ウソくさい。仕事でたくさんのひとに会ってきているが、的を得ていると思う。ひとはそんなに大きいものでもない。弱みを持たないのは、気づかないだけのことである、と思えるようになった。
「鷗外」とははなれるが、意外なのはゴッホである。「鹿を逐う者、山を見ず」のようだったらしい。
一筋縄ではかれないのが、古今東西の偉人である。ひとをみる目をやしなうには、伝記はかっこうの読み物である。