むらの幸福論

暮らしのちいさなところに眼をむける。

楽しく落ちていく社会

 哲学者の内山節さんに話を聞いたとき、「落ちていく社会」というフレーズが印象にのこっている。

 内山 今後、日本の社会が落ちていくことをはっきりと覚悟すればいいだけの話です。落ちていくことは必ずしも悪いことではないですから、楽しく落ちていく方法もあるわけで、それを模索すればいいだけのことです。

 ――元に戻ればいいわけですね。

 内山 そういうことです。戻し方を上手にすればいい。

  落ちていく社会は衰退ではなく、成熟する社会と考えたい。成熟社会にはそれに見合った作法があろう。個人の生き方の選択はさまざまにあり、またそれを選びうる時代である。