むらの幸福論

暮らしのちいさなところに眼をむける。

ジネンのつながりに生きる

 知らなかった。「自然」は明治以前の日本では「ジネン」と発音し、「おのずから」という副詞、形容詞的な意味で使うのが普通だった、とは。内山節さんの本でまなんだ。

 人々は「おのずから」なるつながりのなかに自然の本質をみた、と内山さんはとく。

 「おのずから」なるつながりとは、作為的なこと、人為的なことがなされていないこと、自然なままであることを意味する。虚為のないつながりの世界である。
 人々はこの世界に暮らすことを理想とし、この世界に絶対的真理があると感じた。

 「おのずから」のままなる自然に手を合わせ、その権現である神仏に頭を下げた。欲望をもち、「おのずから」のままに生きられない人間に悲しき存在を感じとった。
自然や神仏によって救い出してもらうしかない自分たちを、である。