むらの幸福論

暮らしのちいさなところに眼をむける。

「できなくてもいい」山間地社会の生きかた

 「できないこと」を前提にした社会が、来ている。これまで、「しないこと」のすすめを説いた社会のありかたは、あった。でも「できなくてもいい」暮らしのすすめを聴いたのは、はじめてだった。

 都会からのIターンの若者。10年の実績がある。山間地で求められる「役」を、ハードにこなしている。実践しているから説得力がある。

 山間地ではいまでも、生き残る、勝ち残るための作業に躍起だ。でも、じじ、ばば、ばかりになれば、「できない」があたり前。ありのままでなければ、暮らしていけない。現実である。クルマは運転できない。バスにも乗れない。買いものは、移動販売車に頼らざるをえない。

 「必要なことに気がついたらみんなでやっていく。応援できるひとは、応援する」と、若者は言った。おおきな拍手をした。

 でも、慣れていないひとは、できない。

 ありのままでいい。頼っていい。頼らなければ暮らしていけない。