むらの幸福論

暮らしのちいさなところに眼をむける。

あるじのいなくなった家は朽ちるのは早い

 夕方、むらのなかを歩く。誰ひとり外に出ている村びとはいない。2年前、ホームに入って空き家になった家は、サクラの大きな枝が雪の重みでへし折れている。今春、花は咲くのだろうか。

 大きな蔵は、瓦がへし折れて水がなかに浸透していそうだ。どこの家も不思議なことに、住むひとがいないと、瓦からダメージがくる。

 むらのほぼ真ん中にある私の家の周りは、ここ5年で3軒とも空き家になった。

 住む人のいなくなった家は、まったなしに朽ちる。