むらの幸福論

暮らしのちいさなところに眼をむける。

留保の言葉に耳をすます

 大津市の越直美市長が、今期限りで退くようだ。44歳。日米で弁護士活動をした後、12年の市長選で当時の民主党社民党、連合滋賀などの推薦を受けて36歳で初当選し、全国で史上最年少の女性市長となった。

 政界からも引退する。いいことだ。いまためされているのは、何をなすべきかでなく、何をなすべきでないかをいいうる、言葉の力である。何をなすべきかを語る言葉は、果敢な言葉である。何をなすべきでないかを語る言葉は、「留保の言葉」(長田弘)である。不戦を支えた言葉として語られている。

 言葉を走らせずに、立ち止まる。留保する自由をえらんで、忘れずにきている。かけがえのない平凡な日常のうつくしい風景をうしなってはいけない。