むらの幸福論

暮らしのちいさなところに眼をむける。

女やもめに花が咲く

 むかしのひとは、よく言った。「男やもめに蛆がわき女やもめに花が咲く 」と。ぼくが暮らす集落は50数戸だが、おばあちゃんの独り暮らしが10軒ある。おじいちゃんは3軒。道ばたであいさつをかわすのは、おばあちゃんばかりだ。大きな声で元気だ。背筋もピンとのびている。

 旦那さんを亡くして7年になる84歳のおばあちゃんに、彼氏ができた。集落のひとのウワサで知った。でも、みんなは「知らぬ存ぜぬ」をよそおっている。ひとの恋路はほっておくのがいい。

 身奇麗で、男も放っておかないのがわかる。